【のびのびトイロ vol.2】男の子どうしの遊びをしないので、同性のお友達ができません。

多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」では、子育て中のみなさんから寄せられた不安や悩みごとについて、信州大学医学部子どものこころ発達医学教室の先生方が中心にお答えするQ&Aコーナーを配信中です。その中から転載してご紹介します。
お悩み「同性の遊びについていけないときは?」
子どもが、男の子どうしの遊びについていけ ません。ほかの男の子は外遊びや追いかけっ こ、戦いごっこ、虫取りなどを楽しんでいるのですが、うちの子はそういう遊びに参加してもすぐにやめてしまい、人形遊びやおままごとをやりたがります。遊び方を強要する気はないのですが、同性のお友達がなかなかできなくて、少し心配しています。親としてなにか働きかけをしたほうがいいでしょうか?
小児科専門医の新美妙美先生がアンサー!
子ども本人がやりたい遊びを楽しむのが一番大事です。
確かに「男の子が好みがちな遊び」「女の子が好みがちな遊び」というのもありますが、体を動かすのが苦手で、外遊びや戦いごっこをやりたがらない男の子もいます。女の子で外遊びや戦いごっこが好きという子もいます。遊び方は人それぞれです。
本来、遊びというものは、一人ひとりが自分の興味のあることを楽しむ行為です。「男の子だから」「女の子だから」こういう遊び方が「普通」だと考えてしまうのは、大人の側の偏見に過ぎません。子どもは好きな遊びをすることで興味や好奇心を広げ、意欲や自主性、自発性を高めていきます。また、ほかの子と遊ぶことが対人関係の経験にもつながりますが、同性の子が合う場合もあれば、異性の子が合う場合もあります。
同性のお友達ができなくて心配する気持ちもわかりますが、子ども本人がやりたい遊びを楽しむことが一番大事です。大人の側が発想を転換して、無理に働きかけをせず、その子らしい遊び方を見守り、理解していきましょう。
親が遊び方を誘導することには限界があります。
野球一家に生まれた男の子が、運動が苦手で本を読むのが好きだという場合もあります。その子に野球の本を読ませて興味を持たせれば、野球に取り組ませることもできるかもしれません。それで本人も野球を好きになればいいのですが、そうや って誘導することには限界があります。本人が好きと思うことを、家族が変えられるとは思わないほうがいいでしょう。子どもは、本当は好きではない活動を周囲の期待に応えてやっていると、ストレスを抱えて心を病んでしまうことがあります。「男の子はこうあるべき」という大人のイメージを押し付けることが、子どもにとって強い苦痛になる場合もあるのです。
おしゃれが好きな男の子、スカートを履きたがる男の子もいます。そういった興味が一過性で終わる場合もあれば、それを磨き続けて美容意識の高い男性として成長していく場合もあります。
「男の子」のイメージと違う姿を見るとやきもきするかもしれませんが、一人ひとり、好みは違うことを少しずつ理解していきましょう。
「その子らしさ」を、大人の側も大切にしましょう。
大人の社会を見てもわかる通り、近年は職種などの性差も薄らいできています。家庭内でも、父親と母親の役割が柔軟に変わるようになってきました。家事を「できる人がやる」という家庭も多くなったのではないでしょうか。大切なのは「男らしさ」 「女らしさ」ではなく「その人らしさ」です。その人の強みが生きる環境、その人の強みに合った形でまわりの人と関われる関係性を、大人の側も大事にしていきましょう。
遊びには、制作遊びやゲーム的な要素のある遊びなど、性別のイメージが薄いものもあります。そのような遊びを活用すると、同性のお友達と一緒に楽しく遊べることもあるかもしれません。本人が興味を持つようなら、そのような遊びも活用してみましょう。
また、家族やきょうだいで遊ぶときなら、遊び方や人との関わり方を大人がある程度調整できるため、子どもの興味や関心を広げていくきっかけづくりができるかもしれません。子どもの好きなことを理解しながら家族で一緒に楽しみ、家族全員が興味の幅を少しずつ広げていけるといいですね。

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