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子どもの自家中毒、どう気を付けたらいいでしょう

【2020年6月号掲載】

子どもが自家中毒で3回入院しています。どう気を付けたらいいのか、症状が出たときに、入院にまでならない方法はありますか? お医者さん的には珍しくないと言われましたが、普通ではないので、子どもへの対応に困ります。毎回「またか…」と思います。子どもがかわいそうですし、仕事も休まなくてはいけないし、本当にいろいろ大変です。匿住所/さかさまイカ

大変ですね。ところでお子さんは今おいくつでしょうか?

「自家中毒」という言葉の響きもあまりいい印象を持たれない(自分の体が作ったもので中毒になる、みたいな)ので、親御さんの気持ちもつらくなってしまいがちな病名です。

自家中毒は別名周期性嘔吐症またはアセトン血性嘔吐症とも言われ、2〜6歳に多く発症します。この年齢はまだ脳の機能が未熟なので、感染症や疲労、ストレスなどによって嘔吐中枢が刺激されやすく、これが引き金になって嘔吐が誘発されることがあります。自家中毒になりにくい子どもでも、風邪などで高熱が出始める前に1、2回嘔吐することはよく見られます。

この病名は、たとえば感染性胃腸炎や腸閉塞、虫垂炎など嘔吐の原因となる身体的な病気がない場合に付けられます。嘔吐の誘因としては発熱や疲労、からい物などの刺激物の摂取、発表会前の精神的な緊張などの場合もあり、心配性あるいは興奮しやすい性格の子どもが多いともいわれています。ただ、この状態は一生続くものではなく、たいていは遅くとも12、13歳以降、思春期には良くなります。

1回のエピソードは1〜2日間ですが、その間の嘔吐が頻回なため、点滴を受けたり入院になったりしてしまうことが多くなります。このため親御さんもお子さんが1回嘔吐すると「まただ。今度も入院かもしれない」と不安になり、その不安がお子さんや他の家族にも伝わって家庭内が緊張に包まれ、それがさらに嘔吐を助長し、結果的に救急外来を受診することになりがちです。心因性の自家中毒の場合、

吐く → 病院へ行く → 点滴・入院

がパターン化してしまうお子さんもいて、その連鎖ができてしまうと、点滴あるいは入院するまで吐き続けることもあります。

心因性の場合の対処法ですが、お子さんが嘔吐したときには(ご心配でしょうが)本人の前では「今度は大丈夫だよ」というお芝居をしてみてください。ご自身の不安な気持ちをお子さんに気づかれないように、「大丈夫なふり」をして、安心させてあげてください。そして、お子さんを怒涛のように押し寄せる「不安」から解放してあげましょう。もしよろしければ、この方法を一度試してみてください。普段から簡単な手伝いなどをさせて褒めることなどによって、子どもに自信を付けさせ、自立を促すことも薦められています。

先にお話したように、嘔吐は自家中毒以外の病気が原因になっていることがありますので、頻回に吐く場合には自家中毒以外の病気ではないか確認するためにも医療機関を受診してください。