【のびのびトイロ】vol.14 動画にハマってしまって、画面を消すと怒り出します。
多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」では、子育て中の不安や悩みごとを信州大学医学部「子どものこころ発達医学教室」の先生方が答えるQ&Aコーナーを配信中。その中からピックアップした内容を転載して紹介します。【2025年8月号掲載】
お悩み 動画にハマってしまって、画面を消すと怒り出します。
子どもがぐずったときに、スマートフォンで動画を見せると、機嫌が直ります。家事などで忙しいときや、外出先で静かにしなければいけないときには、つい動画を見せてしまいます。ただ、それで子どもが動画にハマってしまったようで、最近は画面を消そうとすると、激しく泣いたり怒ったりします。動画は見せないほうがいいのでしょうか。うまく切り上げさせる方法などはありますか?
小児科医の永春幸子先生がアンサー!
ネット・スマホとの付き合い方を考える、いい機会です。
忙しくて余裕がないときにスマホを見せてしまうのは、多くの家庭でよくあることです。自分を責めすぎないようにしてください。子どもがインターネットやスマホと上手に付き合えるように助けていくのは重要なことです。子どもが小さいうちに、この問題に気づき、付き合い方を考える機会ができてよかったと思います。 あせらずに少しずつ、対策をとっていきましょう。
動画サイトにはマニアックな映像がたくさんあります。自分の好きな動画を探すのが簡単で、一度再生すれば、データベースから関連動画が次々に表示されます。大人でもハマってしまうほどなので、子どもが適 度 に 切 り 上 げ る の は 難 し い でしょう。本人に切り替えさせるのではなく、大人がスマホの見せ方を工夫していきましょう。
また、スマホを子どもにそのまま使わせていたら、アダルトサイトなどを見てしまうこともあります。それは世の中の危険を知らない子どもを、一人で繁華街に行かせるようなもの。ペアレンタルコントロール※などの設定を行うことも大切です。(※子どもの安全を守るため、保護者がネット利用環境を整えること。)
上手に「おしまい」にできる環境を整えましょう。
スマホの見せ方の工夫としては、子どもが上手に「おしまい」にできるように、環境を整えることが有効です。「タイマーを使う」「終了時刻の少し前に予告する」「キリのいいところでおしまいにする」といった工夫をすると、切り上げやすくなります。また、時間通りに「おしまい」にできたらしっかりほめましょう。
ちゃんとおしまいにできた時は次回分の「時間追加チケット」を渡すのもいいかもしれません。子どもが本人がいい気分で切り替えられるようにするのがポイントです。「何分でおしまい」といった約束を決めるときには、子どもとよく話し合ってください。ずっと見ていると「目が悪くなる」「頭が痛くなる」といったことも説明しながら、一緒にルールを考えましょう。子どもにどんなタイミングなら区切りやすいのかを聞いてみるのもいいですね。大人が勝手に決めたルールではなく、ある程度自分で選ぶ余地も与えて子どもが納得して守れるルールを作れるとよいですね。
子どもが一人でルールを守るのは難しいと理解したうえで、子どもと約束したルールを見える形で掲示する、ルールが守れた時にはしっかり注目してほめるなど、ルールを守りやすい環境をつくりましょう。たとえ約束を守れなかったとしても、一方的にスマホを取り上げると、親子の間に不信感が生まれてしまいます。次の機会にルールを守れるように、じっくり対応していくことが大切です。
スマホ以外の活動をすすめることも大切です。
子どもは自分が見ているものから、好きなもの、できることを広げていきます。スマホも、うまく使えば子どもの世界を広げるものにもなります。見せ方や設定などを工夫して、適度に使えるようにしていきたいものです。
ただし、スマホを使ってばかりでは、五感を使うこと、ほかの人との関係のなかでさまざまな経験を積むことは減ってしまいます。音楽やスポーツ、自然観察、ものづくり、料理など、スマホでは提示できない活動も、子どもにすすめましょう。活動のレパートリーが増えていくと、暮らしの見通しを立てやすくなり、自然とスマホを使いすぎないようになっていくものです。
スマホ以外の活動に誘うことが難しい場合には、壊れて修理に出したことにして、一時的にスマホを見せない期間を作ってからリセットするのも一つの方法です。ただし、刺激が急になくなるので、感情を爆発させる子もいます。2週間ほどで落ち着くことが多いのですが、親子だけでうまく対応するのは難しいかもしれません。対応が難しい場合や、親子ともに余裕がなくなってきている場合は、専門機関に相談することも検討してください。
のびのびトイロさん
個性に合わせた多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」では、みなさんから寄せられた不安や悩みごとについて、
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室の専門医の先生方中心にお答えしているQ&Aコーナーを配信中。
赤ちゃんから思春期までのお悩みに対応。
永春幸子先生(信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教)
- 小児科医
長野県で、ずっと小児科医をしている、2歳男児のおばあちゃんです。育児は感動とため息の繰り返しです。子どもは十人といろですが、困りごとは、結構似ています。育てにくいお子さんを持つおかあさんのお力になりたいです。