【のびのびトイロ vol.1】近くにあるものを、手にとってかんでしまいます。

多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」では、子育て中のみなさんから寄せられた不安や悩みごとについて、信州大学医学部子どものこころ発達医学教室の先生方が中心にお答えするQ&Aコーナーを配信中です。その中から転載してご紹介します。
お悩み「なんでも口に入れてしまうときの対処法は?」
子どもが近くにあるものを手にとって、なんでも口に入れてしまうので、困っています。おもちゃやタオルなどをかむのはよいのですが、あまりきれいでない道具なども、なめたりかんだりしてしまいます。「かんでもよいもの」を買って与えているのですが、それは放り出して、ほかのものに手を伸ばそうとします。どのように対処すればいいのでしょうか?
児童精神科医の本田秀夫先生がアンサー!
探索行動の場合と、くせになっている場合があります。
子どもが気になったものをなんでも口に入れるのは、探索行動の一種です。子どもは口の感触で、どんなものかを確かめています。個人差があり、いろいろなものを口に入れる子もいれば、この行動をほとんどしない子もいますが、赤ちゃんや幼児の頃にはよくあることです。それほど心配はいりません。
成長してことばを覚え、いろいろな感覚も育ってくると、子どもは目で見たり手で触れたりして、ものを確かめるようになっていきます。大人に質問することも増えますね。だんだんと、口にものを入れるのは不潔だということもわかってきて、ものをかんで確かめることは減っていきます。
ただ、ある程度大きくなった子で、口にものを入れることがくせのようになっているという場合もあります。その場合、子どもが「口の中の感触が心地いい」「ものをかんでいると集中しやすい」「ものを口に入れていると安心できる」といったことを感じているかもしれません。
探究行動は、成長するにつれて減っていきます。
子どもがいつ、どんなものを口にいれているのか、よく観察しましょう。そのうえで対応法を検討していきます。基本的には、禁止するのは難しい場合が多いので、どのようなやり方に調整していくかを考えます。
まだ小さい子が探索行動として、いろいろなものを口に入れている場合には、成長を待つ必要があるかもしれません。ことばを身につけて、ものをかまなくても理解できるようになっていくと、口に入れることが減っていく場合もあります。
その場合、まずは不潔なものや飲み込んでしまって危険なものを、子どもの手の届くところに置かないようにしましょう。安全性を確保しながら、様子を見ていきます。
子どもが落ち着けるように、許容するものも一つの方法です。
子どもが「集中したい」「リラックスしたい」というときにだけ、ものを口に入れている場合には、家庭ではある程度、許容してもいいかもしれません。
口に入れても差しさわりのないものを用意して、子どもがのびのびと活動できるようにするのも一つの方法です。「自分の鉛筆やタオルをかむくらいならOK」「鉛筆の代わりにガムをかむのはOK」という形で、家族も納得できるやり方が見つかるといいですね。
かんでも大丈夫なおもちゃを使うのも、いいかもしれません。手で触れて楽しむ感触系のおもちゃやキーホルダーを持っていれば、ものを口に入れなくても落ち着けるという子もいます。そのような方法を試すのもいいでしょう。
学校などの外出先でも鉛筆などをかんでいると、まわりの目が気になることもあるかもしれません。ある程度の年齢になったら、不潔さや危なさ、他人の目のことなどを説明し、場面によっては口にものを入れないように教えていくことも大切です。イラストを見せたり、科学的な根拠を示したりして、その子が納得しやすい方法で伝えていきましょう。

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