【子どもとクラフト】vol.2・伊藤萠子の一輪挿し

子どもが摘んだ草花を飾る、日常をアートに変える。
松本の里山辺に窯を構える陶芸家の伊藤萠子さん。彼女が作る一輪挿しは、手のひらに収まる小ぶりなサイズ。「子どもが摘んでプレゼントしてくれた草花を飾れるものを作りたくて」と、自身のお子さんがきっかけに誕生したこちらの花器。ちょうどそのころ作風も変化し、縄文土器と同じ焼き方の「野焼き」に挑戦し始めた伊藤さん。野焼きは一定の環境下にはならないからこそ、偶然の産物が生まれ、それが彼女の世界観を加速させるきっかけに。すべて手びねりで成型して焼成された作品は、ひとつとして同じものはなく、個体それぞれの性格が作品に現れる。日々快適に使えるよう、最初に電気窯で焼き締める工程を加えているから、水漏れの心配はなし。花を飾っていても、飾っていなくても、一輪挿しがまとう空気がふわっと広がり、日常をアート空間へとってくれる。

粉状の粘土をまとわせて焼成した一輪挿し。その時々の作り方、水分、温度、焼成の方法によって、さまざまな個性が生まれることを、伊藤さんは「自然に委ねる」と表現。一輪挿しは1個5500円〜。定期的にイベントに出店するほか、〈ギャルリ灰月〉で取り扱いあり。