【のびのびトイロ】vol.16 上の子が下の子を、よく泣かせてしまいます。
多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」では、子育て中の不安や悩みごとを信州大学医学部「子どものこころ発達医学教室」の先生方が答えるQ&Aコーナーを配信中。その中からピックアップした内容を転載して紹介します。【2025年10月号掲載】
【お悩み】上の子が下の子を、よく泣かせてしまいます。
男の子2人の兄弟です。兄が弟をよく泣かせてしまいます。弟が言うことを聞かないときに、暴言や暴力が出ます。弟は自分に従うのが当然だと思っているようです。親が「弟にもやりたいことがあるんだよ」と説明すると「わかった」と答えるのですが、その後また同じことを繰り返します。
いまはまだ兄弟仲はいいのですが、険悪になりそうで不安です。どのように話したら、兄が弟の気持ちをもっとよく理解できるでしょう。
小児科医の清水亜矢子先生がアンサー!
衝突が多いなら、距離をとらせることも検討しましょう。
一般的に、上の子は下の子にとって「お手本」のような存在ですよね。生活や遊びのやり方を見せてくれる、頼もしいきょうだいです。
一方、下の子は上の子にとって、自分のあとをついてくるような存在です。下の子は自分を見て、同じことをしようとする。自己の延長のようなところがあります。「いつも言うことを聞いてくれる相手」だと感じてしまうことも、あるかもしれません。
上の子も下の子も、小学生くらいになると集団活動の機会が増えます。「授業の枠組みのなかで、自分のやりたいことをやる」「集団で動くために、周囲の人に合わせる」といった活動を経験します。その頃には、どちらの子も自分のペースと他人のペースの違いを少しずつ感じるようになっていくでしょう。
お子さんもいずれは他者の視点を獲得して、きょうだいに自分の考えを押しつけるようなことは減っていくはずです。しかしそれまでの間は、きょうだいで衝突してしまうことが多いなら、ある程度、距離をとらせることも検討したほうがいいと思います。
物理的に別々の場所で過ごす時間をつくります。
距離をとらせる方法としては、物理的に別々の場所で過ごす時間をつくるのがいいでしょう。例えば、習い事をきょうだいで別々に設定して、相手と離れて活動する時間をつくる。一人が習い事に行っている間、もう一人が家でゆっくり過ごせるようにします。休日に家族で遊びに行くとき、きょうだいを別々に連れ出すのもいいですね。
また、家庭内で場所を分けるのもいいと思います。ご相談のように同性のきょうだいの場合、親は「同じ部屋でもいい」と考えがちですが、けんかになることが多いようであれば、部屋を分けたほうがいいでしょう。
小学校低学年くらいまでの子は、部屋で一人で遊ぶことを好まないかもしれません。家族と一緒にいたがる場合もあるでしょう。しかし、その結果として暴言や暴力が何度も出てしまうようなら、一人で遊べる場所をつくったほうがいいと思います。
「自分の部屋では落ち着いてゲームができる」「じっくり動画が見られる」といったメリットをつくれば、幼児や低学年くらいの年齢でも、一人で遊べる場合もあります。部屋を分けることで、きょうだいがそれぞれ落ち着いて過ごせるようになるケースもあるのです。衝突を予防する手立てとして、そのような方法も考えてみてください。
自分の部屋があれば、けんかになってしまったとき、駆け込めるようにもなります。「ほかの人の部屋に勝手に入らない」「部屋から出てくるように強要しない」といったルールをつくり、家族全員で守るのもいいですね。ルールを書き出して貼るのもいいと思います。
弟の気持ちを繰り返し伝えたほうがいい場合もあります。
それぞれの自立的な行動が増え、交流が広がっていくなかで、きょうだいの関係性も変化していくでしょう。
ただし、なかには自分と他者の違いに気づくのが遅い子もいます。小さい頃に「下の子は自分の思い通りになる」と思い込んでしまって、その後、下の子がやりたいことを主張するようになっても、その気持ちをすぐには理解できない子もいるのです。
その場合、弟の気持ちを繰り返し丁寧に伝えていく必要があります。「一回言えばわかるだろう」と思わないで、何度も伝えたほうがいい場合もあるのです。図に書いて説明したほうが、伝わりやすいかもしれません。
また、上の子が学校生活などにストレスを感じていて、下の子にしわ寄せが出ている場合もあります。この場合にはストレスの原因に対処する必要があります。のびのびトイロアプリ内には「学校では優等生ですが、家庭では荒れています」というお悩みに答えているページがあります。そちらも関連項目として、ご参考にしていただければと思います。
のびのびトイロ(アプリ)
個性に合わせた多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」では、みなさんから寄せられた不安や悩みごとについて、
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