【子育ての「NGワード」、それを「OK」に変える逆転メソッド】vol.2 「せめてこれくらい」
子どものためを思って言った言葉でも、その子の心に響くとは限りません。かえって反発したり、自信や意欲を下げてしまうことがあります。せっかく子どもを大事に思って言葉をかけるのなら、その子にとってプラスになるようなやり方にしたいですよね。
そこでこの連載記事では、子どもの発達にくわしい医師たちが子育ての「NGワード」と、それを「OK」に変えるためのポイントをお伝えしていきます。
第2回NGワード
「せめてこれくらい」
大人が「せめてこれくらい」と思っていると…
日本の子どもは自己肯定感が弱いと言われます。
こども家庭庁が2023年度に実施した調査では、日本の子どもや若者で「私は自分自身に満足している」という設問に「そう思う」と答えた人の割合が16.9%でした。
アメリカなど、ほかの4ヵ国では30.9%〜36.4%でした。
どうして日本の子どもや若者は、自分に満足できていないのでしょうか。
さまざまな背景が考えられますが、今回紹介する「せめてこれくらい」というキーワードも、その要因の一つだと言えます。
親や先生が子どもに「せめてこれくらいのことは、できるようになってほしい」と期待をかけることがあります。
宿題をやってほしい。
忘れ物をもう少し減らしてほしい。
もう小学生なんだから、親に言われなくてもやってほしい。
高いレベルは求めないけれど、これくらいのことは期待したい、という考え方です。
子どもの自己肯定感が育ちにくくなる
大人の側には、子どもに無理をさせているつもりはないかもしれません。
しかし「せめてこれくらい」というのは、子どもが自分で立てた目標ではなく、大人の側の期待値で設定した目標です。
そういう基準は、子どもの年齢や学年の平均を目安にして設定されることが多く、一人ひとりの発達や成長には一致しないことが多いです。
親や先生が「せめてこれくらい」と考えていると、子どもが生活のなかで満足感や達成感を得にくくなります。
何かを自分なりに頑張って、うまくできたと思っても、それが親や先生から期待されている基準を超えられなかったときには、自分に満足できません。
「頑張ったけどダメだった」と感じてしまうのです。
そういう環境では、子どもの健康的な自己肯定感が育ちにくくなります。
子どもへの期待は、低けれは低いほどいい
逆に言えば、子どもが健康な自己肯定感を持つためには、親や先生の期待は、低ければ低いほどいいということになります。
子どもが何かに取り組んでいるとき、大人から見れば「まだまだ足りない」と思うところもあるかもしれません。
しかし、子どもが本人なりに達成感を持っているようなら、その頑張りを肯定的に受け止めましょう。
「よかったね」と声をかけるとか、軽く褒めるとか、そういう対応をしてみてください。
子どもに対する要求水準を下げて、ちょっとした成功にもポジティブに声をかける。
それが健康的な自己肯定感を育てるコツです。