【子育ての「NGワード」、それを「OK」に変える逆転メソッド】vol.3 「一度しか言わないから、よく聞いてください」
子どものためを思って言った言葉でも、その子の心に響くとは限りません。かえって反発したり、自信や意欲を下げてしまうことがあります。せっかく子どもを大事に思って言葉をかけるのなら、その子にとってプラスになるようなやり方にしたいですよね。
そこでこの連載記事では、子どもの発達にくわしい医師たちが子育ての「NGワード」と、それを「OK」に変えるためのポイントをお伝えしていきます。
第3回NGワード
「一度しか言わないから、よく聞いてください」
理解できる子しか授業についていけない
学校では、先生が子どもたちに口頭で一斉指示をすることがよくあります。授業でこれから何をするか。次の授業をどの教室でおこなうか。翌日の授業にどんな持ち物が必要か。そういったことを指示するとき、先生が「いいですか、一度しか言わないから、よく聞いてくださいね」などと言うこともあります。
よく聞く言い回しですが、これも一つのNGワードです。なぜかというと、この言い方では先生の話を一回で理解できる子どもしか、授業についていけなくなるからです。それ以外の子は、授業にうまく入っていけなかったり、教室を移動するときに遅れたり、忘れ物をしたりするでしょう。口頭の一斉指示は、ものごとを伝える方法として、あまり効果的ではないのです。
大人が仕事で大事な話をするときには…
世の中には、多様な人がいます。話を聞き取るのが得意な人もいれば、文字を読んで理解するのが得意な人もいます。見本や手本を見て、真似をするのが得意な人もいますよね。
ですから私たちは、仕事などで大事な話をするとき、伝え方を工夫します。同じことを繰り返し説明したり、要点を書面にまとめたり、見本となる写真を示したりします。相手から質問があれば、回答します。そのほうが、話がより確実に伝わるからです。
子どもたちに指示を出すときにも、ちょっと工夫をすれば、話が伝わりやすくなります。口頭で一度だけ指示をするのではなく、何度か説明する。黒板に要点を書き出す。見本を置いておく。お手本を見せる。質問に答える。そのような工夫をすることで、授業にしっかり参加できる子が増えます。
指示の出し方を工夫すると、大人も楽になる
話し言葉や文字、見本など、さまざまな形で情報を示すと、子どもたちはそのなかから自分が理解しやすい情報を選ぶようになります。誰にとっても理解しやすい環境になれば、子どもたちはそれぞれに自分なりのやり方で活動して、うまくいかないときだけ、大人に相談するようになっていきます。指示の出し方を工夫すると、大人も楽になるのです。
それとは反対に、「口頭の一斉指示」という画一的な情報しか得られない環境では、次に何をすればいいのかがよくわからず、ほかの子のやることを真似して行動する子どもが出てきます。そのような環境では、子どもが自分で考えて行動することができず、積極的に活動できないでしょう。