B型肝炎予防接種、受けさせるべきか迷ってます
【2017年5月号掲載】
B型肝炎の予防接種の補助対象者が拡大され、年長児の息子も対象になりました。医療機関によるみたいですが、1回につき2000円ほど、自己負担する必要があるとのこと…。受けさせるべきなのか判断つかず、困っています。副作用がないかも、気になります。
松本市/ぼんぼり
B型肝炎ウイルスワクチンの副作用は、注射部位の赤み・腫れ、発熱、アレルギー症状などいくつかありますが、その頻度は定期接種となっている他のワクチンと大差ないと思います。
B型肝炎ウイルスに感染すると、無症状のままウイルス感染が続くキャリアという状態になったり、急性肝炎になったり、慢性肝炎を経て肝硬変や肝臓がんになったりすることがあります。キャリアのまま肝炎を発症しない場合もありますが、その間、周囲の人に感染させてしまう可能性があります。急性肝炎は劇症化すると短期間で命の危機に至ることがありますし、慢性化すると肝炎→肝硬変→肝臓がんと、時間をかけてジワジワと死に向かっていくことがある恐ろしい感染症です。
近年有効な薬の開発が進んでいますが、薬物治療は高額で長期にわたり、一方で薬が効かない耐性ウイルスの問題もでてきています。B型肝炎ウイルスは感染者の血液だけでなく汗や涙、唾液の中にもいることが分かっており、保育園・幼稚園や学校、会社など集団生活の中で知らないうちに感染してしまう危険性があります。
このように、ワクチンを3回接種したときの副作用や経済的負担と、ワクチンを接種せずにB型肝炎ウイルスに感染してしまったときの経過や治療費等の経済的負担を比較すると、接種した方が有利であると私は思います。
ワクチンは年齢が若いうちに接種した方がより効果が出やすいので、できるだけ早い時期の接種をお薦めします。
3回接種が基本で、1回目の接種後1か月後に2回目、6か月後に3回目を接種します。感染症の最も有効な対策は予防です。ご不安もあると思いますが、今まで他の定期接種を受けてこられたのであれば、上記を読んだ後もう一度接種について前向きにご検討いただければ幸いです。