予防接種の同時接種って安全なのですか？

【2018年7月号掲載】

予防接種の同時接種について質問です。単純に、違う薬剤を同時に身体に入れて大丈夫なのでしょうか。そして実際に接種していただく場合ですが、３種類のときは３本打つということでしょうか。薬剤を１本の注射にまとめてもらうということはダメなのでしょうか。子どものことを考えると、立て続けに３本はかわいそうで…。

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かわいそうというお気持ちは分かります。一度に数ヵ所に痛い注射をするのですから、親御さんがそう思われるのももっともだと思います。

同時に数本接種するか、１本ずつ接種するかは選ぶことができますし、実際に１本ずつ接種したいと希望される親御さんもいらっしゃいます。その場合には、一定期間はほぼ毎週通って接種していくことになります。この方法は時間と労力がかかりますし、お子さんも毎週病院に行って痛い目に遭っているうちに病院嫌いがひどくなることがあるので、１日にまとめて数本注射をして間隔を空けた方が通院の負担やお子さんの病院嫌いのリスクは減る、という考え方もあります。

乳幼児期に後遺症や命の危険に曝されるような感染症にかかることを防ぐために、ワクチンは最も効果的な予防法です。同時に複数のワクチンを（ただし１本ずつ体の別々の場所に）接種する「同時接種」は、海外ではかなり前から日常的に行われています。日本小児科学会の提言によると、単独接種（１本）と同時接種を比べて、個々のワクチンの効果や副反応のリスクに差はないとされています。

数種類のワクチンを混ぜて接種（混注）できないかとのことですが、昨年東京の医療機関で行われたことが問題視され、ニュースにもなりました。現時点では、予め混合して作られていないワクチンを接種時に混合した場合、その効果の保証はなく相互作用や安全性についても検証されていないので、公費で行うワクチンでは混注は禁止されています