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保湿薬を塗っていても体を掻きむしってしまいます

【2022年4月号掲載】

娘が一年中体をきむしってしまいます。小児科や皮膚科に行って保湿の薬を処方されていますが、それを塗っていても掻きむしった傷があちこちにできてしまっています。山奥で朝はマイナス10度も当たり前の寒い場所なので、暖房のこともあり、この時期は保湿が間に合っていない状況です。加湿器を使用していたり、服も刺激が少ないよう綿100%を着せていますが、ほかにできることはありますでしょうか? よろしくお願いいたします。松本市/らんらんまま

お薬以外にできることとしては、まず爪切りをきちんとすることです。常に伸びていないか注意してあげることと、切った後に爪の切り口の角を目の細かいやすりで丸く削ってあげましょう。

それから入浴方法の工夫です。子どもは大人より皮膚が薄いので、ゆっくり湯舟に浸かると皮下の血流が増えて皮膚温が上昇します。するとお風呂から上がった瞬間から皮膚の表面から水分がどんどん蒸発してしまうので、上がって5分後には入浴前より皮膚の乾燥がかえってひどくなってしまいます。それと同時に皮膚の血流がよくなることでもより強くなってしまいます。皮膚のみや乾燥が気になるお子さんは、入浴中は石けんをつけてスポンジ等を使わずに手でやさしく洗って汚れを落とし、湯舟に入る時間は極力少なく(ジャボンと浸かる程度)することをお薦めします。冬場は寒いので脱衣所を温かくしてあげて、上がったら5分以内に保湿剤を塗りましょう。

お部屋の加湿ももちろん大切です。電気毛布や電気敷布などお使いでしたら、就寝前に点けて温めておいて、寝る時には消しましょう。点けたまま眠ると、体全身を温めることで掻痒感や乾燥をひどくさせる可能性があるからです。

最後に保湿剤についてです。最近は「ヘパリン類似物質」の入った保湿剤がよく使われています。「ヘパリン」という物質には保湿効果の他に血行促進作用があります。新しく掻き壊した傷や赤く炎症を起こしているところにその保湿剤を塗ると、お風呂と同じように血流をよくして炎症を強めてしまうので、痒みや赤みがかえって強くなることがあります。もしそういうものをお使いでしたら、一度、痒みや赤みが治まるまでヘパリン類似物質の入っていない保湿剤に変えてみてください。痒みや赤みは炎症の症状なので、そのような場所にはステロイド剤等の炎症を抑えるお薬を塗ることをお薦めします。