【子育ての「NGワード」、それを「OK」に変える逆転メソッド】vol.5「みんなも我慢しているから」
子どものためを思って言った言葉でも、その子の心に響くとは限りません。かえって反発したり、自信や意欲を下げてしまうことがあります。せっかく子どもを大事に思って言葉をかけるのなら、その子にとってプラスになるようなやり方にしたいですよね。
そこでこの連載記事では、子どもの発達にくわしい医師たちが子育ての「NGワード」と、それを「OK」に変えるためのポイントをお伝えしていきます。
第5回NGワード
「みんなも我慢しているから」
個別の困難が見えなくなる
学校ではさまざまな集団活動が行われますが、みんなが難なくこなしていることに、うまくなじめない子もいます。
例えば、運動会に向けて練習を重ねていくときに、子どもがその活動にどうしてもなじめなくて、学校に行くのを嫌がるようになることがあります。そういうとき、親や先生が「確かに練習するのは大変かもしれないけど・・・」「みんなも我慢しているんだから、あなたも我慢しなさい」などと言うことがあります。
この「みんなも我慢しているんだから」という言い方には注意が必要です。なぜかというと、集団を基準にすることで、個別の困難が見えなくなり、特定の子どもに無理をさせてしまう可能性があるからです。
「みんなは自分ほど我慢していない」
子どもが運動会の練習になじめないときには、なんらかの要因があるかもしれません。例えば、運動全般が苦手、ダンスが苦手、大音量のBGMが苦手、特別な服装が苦手、といった要因が考えられます。
子どもがダンスを苦手としていて、運動会の演目をこなすことにほかの子の何倍も苦労している場合には、親や先生が「みんなも我慢しているんだから」と言い聞かせても、その子のつらさの軽減につながらないでしょう。その子は「みんなは自分ほど我慢していない」と感じているかもしれません。
それぞれに合った目標を設定しよう
大人が設定した目標を達成させるために、「みんなも我慢しているから」という理由で子どもに我慢を強いるのは理不尽です。それではただ「我慢すること」を練習させているだけで、結局、運動会の演目を習得することには近づかないでしょう。
運動会の練習にみんなが参加できるようにするためには、集団を基準にして画一的な目標を設定するのではなく、それぞれに合った目標を設定する必要があります。ダンスが苦手な子には、その子が取り組みやすい課題を設定しましょう。
子どもは、自分で「この目標を達成したい」と思っているときには、やや厳しい練習にも我慢して取り組むこともあります。それは健全な我慢です。我慢は大人が押し付けるものではなく、子どもが自分で学ぶものなのです。
学校での集団活動も、ただ我慢を練習するだけの活動ではなく、子どもたちがそれぞれの目標に向かって、健全な努力、健全な我慢を経験できるような活動にしていきたいですね。